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高雄出身の人-ロン・インタイを中心に

かつて、トロントといえばグールド。

今は、高雄といえば、ロン・インタイ。

ロン女史は、私の大好きな作家である。

作家というよりは、文で絵を描く人。

楽器をかき鳴らす人。

詩人、哲学者、社会学者、歴史家......etc。

人類愛提唱者といっても良いかもしれない。

ここ高雄はインタイさんが生まれた都市。

高雄は、3度目。

いつも暑さにどうしていいかわからなくなる。

この気候の全てが、ロンさんを育てた。

飛行機が着陸した時は、初めてトロント空港に降り立った時に似ている。

地下鉄乗り場を聞くと、何やら出世したような気になった。

日本からの厚着に耐えかねて、早く衣服を調節したいと焦る。

初めてロンさんの動画をyoutubeで観た時、センセーションを感じた。

ただ歩いているはずが、普通の人に見えない。

走っているのではないが、高級車が厳かに時速を感じさせずに前に進んでいる。

上半身は揺れず、足は車輪となり、猛スピードで進んでいく。

その骨盤あたりとお尻にすっかり見とれて赤面してしまった。

それでもなお、凝視できる。。。。

この動きが、彼女の文体に表れている。

何もかも整っている高級車の走行。

設備、頭、心、精神、気づき、トンチ、ヒューモア、すべて OKなのだ。

ロン・インタイ著「父を見送る」は、エッセイ集である。

表題に南国の花のような柔らかなお色気のあるオレンジ色が使われている。

正面写真の偉大なお母さま。

出色の娘さんをこの世にありがとう!!

以前観た、アルゲリッチのドキュメンタリーも母と娘の物語である。

フィルムの最後、公園で母娘がマニキュアをしてるシーンが印象的だった。

それで、ロン女史のこの本からp62の「マニキュア」というエッセイを選ぼう。

声と絵のような文章。

どの場面も名画のように表現されるが、特に母親にマニキュアをしてあげる場面が

巧妙なモザイク画のようだった。

緻密な表現がリズム良く散りばめられ、彼女独特の繊細、かつ巨大なロンワールドが

構築されていく。

ここにも表紙と同じ母上の写真が載っている。

手前のエッセイ「ともに老いる」では、若かりしころのただならぬ気迫の母上と

これまた前頭葉の脳ミソの隆起が著しい弟君の賢そうな白黒写真が載っている。

坊やは竹製乳母車に座り、母上は自転車のハンドルを握っておられる。

背景は木の葉と小屋。

弟さんの貴いまなざしが、この家系の質を証明している。